痛ましい虐待事件の報道をたびたび目にしますが、自分が子供の心を傷つけている自覚のある親は少ないと私は思います。
子供が心の病を患ったり、不登校になって、はじめて自分が虐待していたと気づいているようでは遅いです。(虐待の定義は人それぞれだと思いますが、親が日常的に子供を傷つける言動を私は虐待と考えます)
ただ、私の両親(人の気持ちが分からないタイプの発達障害と自己愛性人格障害)のように、家族の病理が子供に表れても、自分は悪くないと言い張る親もいます。ですから、気づくだけでも良いほうなのかもしれません。
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成長しなくていい人は、この世に存在しません。何歳になろうと、親になろうと、生きているかぎりは「未熟者」です。
すべての人に課題があり、女性なら20代後半~30代後半に、エゴ(不安から自分を守る防衛的思考)を改める人間的成長の機会(人生の転換期)が訪れます。
この「心理的成長期」に、それまでの自己中心的「ナルシシズム」を卒業して、他者と分かち合える「成熟した大人」になるのです(死ぬまで自己成長は続きます)。
ところが、心理的課題を認めたくない恐れ(エゴ)が強すぎると、成長しないまま親になり、自分の問題を子供にばらまく悪循環が起きてしまいます(いわゆる毒親)。
悲しい事件を無くすために今すぐできることは、一人一人が自分の心理的課題に向き合うことではないでしょうか。(人の集合体が「社会」ですから)
そのため私のカウンセリングでは、自分の心と向き合うことへの「恐れ」を克服することに焦点を置いています。
無意識に抑圧した「恐れ」を本人が自覚できないことが一番のネックです。「現実に表れる問題」と「恐れ」は年々拡大していくので、早めの対処をお勧めします。
この「恐れ」を遠ざけるために「怒り」でフタをしていることがよくありますが、あなたはどうですか?
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以前から、私の両親は虐待報道を見ても他人事にしか感じておらず、特に母は「こういう子供って、なぜか親をかばうのよね~」と信じられない発言をしていました。
親に愛されたい、親を愛したい子供の気持ちなど、自己愛性人格障害の母には永遠に分からないでしょう。人間の情が育っていないので「分かれない」と言ったほうが正しいのかもしれません。
私の両親も親に愛されなかった虐待経験者なのに、報道される虐待事件を「対岸の火事」としか受け留められない共感能力の低さが…。人の気持ちが分かれないから、私を虐待できたのでしょうけど。
非常に残念なことですが、私の両親のように、自分に火の粉が降りかからない限りは、無関心を貫く人も現実には大勢います。
虐待事件を「特別な親が起こす事件」「よその世界の出来事」と捉えていませんか?自分に引き寄せて、自分のこととして考えないと、虐待は無くなりません。
そして、虐待が生まれる背景には「親自身の被害者意識と怒り(攻撃性)」が存在しており、自己反省や自己成長の妨げとなっています。
特に、交際中に信頼関係を築かないまま結婚した夫婦は、親個人の問題と夫婦間の問題が子供に表れているケースが驚くほど多いです。
夫婦が信頼し合っていれば子供をいじめたりしません。自分を裏切って生きている親は、ストレスを子供にぶつけます。
冷静に考えて、幼児期のナルシシズム(自己中心思考)を克服せずに生きてきた人が、配偶者や子供と信頼関係を築くのは難しいでしょう。自分自身が不安定で、自立した大人になりきれない状態ですから。
自分も子供(あるいは誰か)を傷つけているかもしれないと想像してみてください。本人の自覚が家族問題や対人問題を防ぎます。
本当に気づいて欲しい人ほど、この記事を目にしないことが残念でなりません。